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サラリーマンから転身して家業に入って17年。父・節男からの教えがある。
「土がよくなれば根がよくなる。根がよければ樹がよくなる。樹がよければ葉っぱがよくなる。葉っぱがよければ実がよくなる」。
父はこの考え方の下、独自に見出した方法で樹の健康状態をチェックする研究肌として知られる。
マイクロメーターで葉の厚みを測る、実を結びはじめた新梢(若い枝)の糖度を測るなど。その父の姿をみて育った憲道は、桃の樹のデザイナーになることを選んだ。
甘くてみずみずしいおいしさたっぷりの憲道の桃。その理由の一つに桃が太陽をたっぷり浴びるような剪定の技にある。桃の剪定にはいくつかの流派があるが、父・節男譲りの探究心で憲道は独自のスタイルを編み出した。「枝を低く横に広げる大草流をベースに、枝を扇型に広げる大藤流も採用。流派を超えた『いいとこどりの剪定法』で、すべての実に陽光が降り注ぐように桃の樹をデザインしています」。
デザインするのは枝だけではない。1本の樹に1000個の桃を実らせるのに、摘蕾と3回行なう摘果で95%、つまり1万9000個分を摘み取り、いいものだけを残す。「どの枝に実をつけさせるのか、どの位置に実を結ばせるかなど、たわわに実ったときをイメージしながら、さらには来年の枝ぶりや収穫もイメージして実の配置を考えます」。憲道は桃のおいしさを編み出すデザイナーなのである。
その渋谷フルーツガーデンの桃はおいしさに加えて、鮮やかな色味でも評判だ。
それは、有袋栽培。福島県に生まれた極上品種「あかつき」は無袋栽培が一般的だが、憲道はあえて袋をかけるのだ。
「安心、安全はもちろんのこと、桃を無用な傷や害虫から守れますし、何より桃本来の色が鮮明になります」。憲道は果樹農家として当たり前のことと語るが、すべての実に袋をかけ、収穫前には袋を取りのぞく。家族総出で行わなければならない大変な作業だ。そのほか、堆肥や有機肥料によるふかふかで元気な土づくりのための年に数回の草刈りも大切だ。
桃のためにひたすら丹精する。食べた人が「おいしい!」と驚き、笑顔になる瞬間のために、憲道は最高の桃を追い求める。
樹上で完熟させる桃は美しく、果汁が溢れだすほどみずみずしい。食べ頃を朝採りするのも憲道流だ。
福島の桃は長く楽しめるのも魅力。品種による味わいの違いも楽しんでください。
完熟の桃というと柔らかい果肉を思い浮かべがち。でも、樹上で完熟させた採りたての桃の果肉は硬く、パリッとした歯ごたえ。ところが頬張れば、果汁が口中いっぱいにあふれ出る。
また、冷やしすぎないこともおいしく食べるポイント。食べる直前にビニール袋に入れ、1時間ほど冷蔵庫で冷やして召し上がれ。